ユニチカ跡地住民訴訟判決を受けて(声明)
7月23日「ユニチカ跡地住民訴訟」において、最高裁判所が、原告市民、被告補助参加人であるユニチカの上告は棄却、被告豊橋市長の上告は却下とし、「市長はユニチカに対し21億円を請求せよ」とする名古屋高裁の判決が確定しました。
ユニチカの撤退にあたり、佐原市長が土地の返還をもとめなかったことに対して、住民監査請求から住民訴訟へと取り組んだ原告団と弁護団の皆様に、心からの敬意を表します。そして市長には、住民の財産を一方的に手放し、住民と議会を軽視してきた姿勢に厳しい猛省を求めるとともに、経過の報告と、住民への謝罪、判決に従ってユニチカに対して土地代金の請求を行うことを、強く求めます。
ユニチカ跡地の問題は、1951年の豊橋市と大日本紡績(ユニチカの前身)との契約に従えば、ユニチカが撤退をする時には跡地を豊橋へと返却をしなければならないものでありました。しかしユニチカは、2014年に、事業所閉鎖と土地売却についての報告を市へ行い、そのまま跡地の売却を進めようとしました。一方で豊橋市は、議会に対しては、ユニチカのその申し出について2015年9月に一枚の報告書を送ったのみで、済まそうとしました。
2015年10月、日本共産党豊橋市議団のもとに、この契約についての情報が寄せられ、その年の12月議会の一般質問で、鈴木みさ子市議が初めてこの問題を取り上げ、市長に「返却を求めるよう」追求しました。それ以後、党市議団は「契約を守るべき」「市長は市民の財産を返すように交渉せよ」と、一貫して追求してきましたが、他の議員は「裁判を見守る」(原告団のアンケート調査への回答)と、市民の利益を代表する立場の追及はしてきませんでした。
住民訴訟の、名古屋地裁の一審判決では、ユニチカの土地全ての売却益「63億円を請求せよ」というものでしたが、上告棄却によって、土地の1/3にあたる「21億円を請求せよ」という名古屋高裁の二審判決が確定をしました。二審判決で裁判所は、「ユニチカに与える影響が大きい」という理由にならない理由をつけて、対象とする土地を1/3に減らしています。長らく豊橋で操業を続けてきたユニチカに、一定の配慮するべきかどうかは、市とユニチカの交渉で決まることであって、裁判所が決めるべきことではありません。日本共産党豊橋市議団は、市長がユニチカに、まず全ての土地の返却を求めるのが、契約に従った筋であったと考えています。
市長の市政に納得いかない市民の皆さんの、監査請求から訴訟へという行動が、今日の判決に実を結びました。市民の訴訟がなければ、市には一円も入らなかったのです。「声を上げれば、変えられる」ことを示した。画期的な成果です。
今回の判決でユニチカの土地問題が終わったわけではありません。市長はなぜ、契約を無視する態度をとったのか。なぜ、住民や議会から声が上がった時に、ユニチカとの協議も行わなかったのか。そして今回の判決に、どのような対応をするのか。そうした問題がこれから問われることになります。日本共産党豊橋市議団は今後も追及を続ける決意です。
以上