2月24日に、議会運営委員会が開催され、議案第36号「豊橋公園への多目的屋内施設(新アリーナ)建設の賛否を問う住民投票条例の制定について」が、市長から提案されました。
私は、昨年来、市民のみなさんの取り組んできた直接請求署名が、このように提案されたことに、まずは大きな感慨を覚えています。
中身を見てゆきましょう。
「1 条例案」は、市民のみなさんが取り組んだ署名に添えてあった「条例案」そのままです。
そして、直接請求にもとづく条例案には「市長意見」を添えて提案することとされており、
今回は3ページに「2 主な市の考え方」、4ページに「3 主な内容の疑義」という二つの項目が提示されています。
以下に引用をします。
2 主な市の考え方
議案第36条 豊橋公園への多目的屋内施設(新アリーナ)建設の賛否を問う住民投票条例の制定について より
・多目的屋内施設の整備については、総合体育館の老朽化・過密化への対応、防災活動拠点としての機能の強化・充実、プロスポーツやエンターテインメント、コンベンションなどの集客によるまちのにぎわい創出等への寄与といった観点から、本市にとって必要不可欠なものとして、平成27 年度以降、検討を進めてきた。
・これまでの検討においては、市民の声として地域住民やスポーツ団体をはじめとした施設の利用者、商店街など様々な立場の市民の方から御意見を伺うとともに、スポーツ協会や市議会会派からの新アリーナの早期建設の要望、市内中心部への新アリーナ建設を求める市民28,270 人の請願などの建設を望む声のほか、整備に反対する市民5,792 人の請願や豊橋市総合体育館、地区体育館等も含めた屋内施設の在り方を検討し、その道筋を示すことを求める請願をいただいており、こうした市民の声を受けとめながら取組を進めてきた。また、議員の皆様からも議会の場を通じて多くの御意見をいただき、令和3年12 月及び令和4年6月に開催された市議会定例会における多くの議員の皆様の御賛同による関連予算の議決といった必要な手続を経て、現在、基本計画の策定作業を進めているところである。
・今日の地方自治制度は、選挙により選ばれた市民の代表である議員の皆様や長による活動を通じ、市民の意思を行政に反映させる間接民主制を原則とするものである。
これに対し、条例制定請求等の直接請求制度は、市民の意思が行政に反映されない場合などに間接民主制を補完するためのものである。直接請求権は、地方自治法に基づき付与された大変重要な市民の権利であるものの、本市における多目的屋内施設の整備については、市民の意思が議員の皆様の御賛同による議会での議決という形で十分反映されていることから、本条例を制定する意義は見出し難いと考える。
3 主な内容の疑義等
議案第36条 豊橋公園への多目的屋内施設(新アリーナ)建設の賛否を問う住民投票条例の制定について より
(1)住民投票の対象が不明確
住民投票の対象が新アリーナを豊橋公園に整備することの賛否なのか、新アリー
ナを整備すること自体の賛否なのかが明確にされておらず、適切に市民の意思を反
映することができない。
(2)投票資格者の範囲が不明確
居住要件の基準時点、公職選挙における欠格事項に該当する者の取扱い等につい
て明確にされておらず、投票を行う資格を有する者の範囲が明らかでない。
…条例を制定してほしくない市の意向が、端々に見受けられますね(苦笑)。
「2 市の考え方」では、何点か述べています。
私なりに読み解きながらツッコんでゆきましょう
①「多目的屋内施設整備については必要不可欠なものとしてH27年度から検討してきた」?
→いろんな理由を言ってますが「多目的」であることは必要不可欠ではありません。総合体育館の老朽化はともかく、過密化も当時の市長が、バスケチームのホームアリーナに勝手に指定したことが大きな要因です
②「市民の声を聞いてきたし、要望も受けてきた。賛否双方からの請願もあった。議会の議決を得て事業を進めている」?
→請願が出ていたのは、前市長の時代です。その計画が破綻をし、浅井市長自身が選挙の公約で「市民とともに」「ゼロベースで検討する」といったのです。
しかし、選挙後市民とともに検討をするどころか、秘密裏に豊橋公園での検討をすすめ、市民ではなく事業者の意見を受けて、市民不在のまま一方的に豊橋公園での計画をスタートさせることを表明したのです。現在の基本計画の検討状況も、12月の私の一般質問に対してすべて「現在基本計画策定作業の中で検討しています」という答弁ばかり。全くのブラックボックスです。
そして、市議会の各会派も、住民投票についての市民からのアンケートに「まだ何も決まっていない」と回答しています。
③「条例制定請求等の直接請求制度は、市民の意思が行政に反映されない場合などに間接民主制を補完するためのものである」「本市における多目的屋内施設の整備については、市民の意思が議員の皆様の御賛同による議会での議決という形で十分反映されていることから、本条例を制定する意義は見出し難い」?
→誰が、この間の多目的屋内施設整備の一連の経過をみて、「市民の意思が~十分反映されている」と思うでしょうか?
この「市の考え方」を踏まえると、ますます「新アリーナ」の賛否を問う住民投票を実施することが必要だ、と痛感しますね。
「3 主な内容の疑義等」については、二点ありまして
①行政がつくる条例案としては、表現や内容について気になるところがある
→文章として「厳密さ」について多少の疑義があっても、主旨を明確にして投票を実行できるならよかろうかと思います。
②住民投票を実施する条例としての「不備」がある
→住民投票を実施する「ねらい」ではなく、「不備」ゆえに「反対」という議員がいてはいけないので、「修正」も検討します。
ざっとみて、このようなことを検討しています。
議会運営委員会では、「週明け27日に議会で審議する」ということが決まりました。
あまりにも時間がありません。(その経緯は別記事で)