市民が取り戻した「ユニチカ跡地損害賠償金」を産業振興に使う条例修正案が数の力で強制成立―日本共産党はどちらにも反対
12日の予算委員会では、「ユニチカ跡地損害賠償金」の26億円と、「コロナウイルス感染症基金」約2億円を抱き合わせにして「豊橋市がんばる市民応援基金」を設立、コロナ対策のほか、産業振興に充てるための条例をつくるということについて、議論が集中しました。
自民党、公明党、みんなの議会が共同で修正案を提出
修正案の内容は、コロナ対策は、従前の「コロナ基金」で行なうこととして「がんばる市民応援基金」と切り離し、「ユニチカの26億円」を財源として「未来産業支援基金」を設立し、すべて産業振興に充てるというもの。日本共産党豊橋市議団は、原案にも修正案にも反対しましたが、修正案が数の力で押し切られました。
26億円を取り戻した市民の力をなかったことにし、「戦後の企業誘致に起因するもの」とすり替えた修正案の欺瞞
そもそもこの26億円とは、市が放棄した土地の売却代金63億円の一部であり、市民が手弁当で裁判をたたかった結果、取り戻したものです。使途は市民に問うべきです。そのうえで、コロナにより、いま苦しんでいる市民への支援や、検査体制の拡充など、国の支援を待っていてはできない施策を、躊躇なく行なうために、独自財源を確保しておくというのなら、まだ理解も得られるでしょう。
浅井市長は「市民の皆さんが取り戻してくれたもの」と明言
しかし、「本市の戦後復興の企業誘致から生じた市民の貴重な財産」と副市長が先に答弁していたため、双方の見解に齟齬がある(食い違いがある)と長坂議員が議事進行をかけ、委員会は紛糾、答弁のすり合わせをおこなったのち、「裁判所が判断したもの」と市長の再答弁になりました。
この26億円について、市民の起こした行動とその結果をあまりに軽視するものであり、容認できるものではありません。
26億円をユニチカを誘致したときにさかのぼって「戦後の企業誘致に起因したもの」という理論は、すり替えにほかならず、とりわけ、裁判中も静観していた議員らが、この26億円について使途を提案すること自体、議会人としての思い上がりではないかと厳しく指摘をしたいと思います。
(鈴木みさ子)