豊橋市では不妊治療・不育検査への支援を行なっています
市では、「子どもを望む夫婦を全力で応援します!」として、不妊治療に1回30万円、不育検査(妊娠はしても流産などに至ってしまう)に、1回上限5万円までの補助等、所得に関係なく支援を行っています。
「妊活」動画の内容は見過ごすことのできないもの
また、不妊・不育専門相談センターを保健所内に設置し、気軽に相談してほしいと呼びかける動画を作成し、昨年10月から、豊橋駅の自由通路の大型ビジョンと、市のホームページでそのPR動画を放映していました。ところが、内容が当事者への配慮を欠き、心を傷つけるものであるとの指摘が、市議団に寄せられました。
豊橋駅の自由通路の大型ビジョンを確認したところ、「子どもさんはまだなの?」「早く孫の顔が見たいねえ」という言葉に続き「妊活」の2文字が大写しになる動画が約3分に1回の割合で流されていたのです。
市の意図は「不妊に関する周囲の人たちの理解を求める」ために作成した動画だということです。しかし、これは心無い言葉によるハラスメント被害を受けているその当事者にさらに追い打ちをかけるものです。通り過ぎる人は一瞬、目や耳にするだけですから、市の意図は伝わりにくく、むしろ、インパクトがある表現だけが印象に残るのではないでしょうか。
市議団の申し入れを受け、浅井市長は放映中止を即決断
この動画の放映はただちに中止すべきと、5月27日、市長と保健所長、こども保健課に申し入れました。
すると、申し入れを受けた浅井市長が、即、削除するように指示し、市のホームページの動画が削除され、大型ビジョンは、ただ、市の相談センターへの相談を呼びかけるだけの内容に差し替えられました。
市民の選択を尊重するとともに、安心して子育てできる環境を
子どもを産まない選択をしている、望んでも授からない、望みながらも経済的理由であきらめざるを得ないなど、子どもさんを持たない(持てない)ご夫婦の事情はそれぞれです。
不妊・不育相談は、周りからの圧力に苦しむ当事者の方にさらに努力を課すようなものであってはならず、どのような選択も尊重しながら、望む人は全て自らの意思で自由に選択することができる、また、経済的な支援を含め、安心して子供を産み育てることのできる環境をつくっていくことが市の役割ではないでしょうか。
(鈴木みさ子)