
8月11、12日の2日間にわたって、東三河広域連合議会8月議会が開かれました。
一般質問では介護保険事業について、また、決算委員会では2020年度決算について質疑を行ない、一般会計、介護保険特別会計ともに不承認としました。
―介護保険事業についての一般質問から―
低所得者を施設から閉め出す「補足給付」の改悪で、大幅負担増となる人も
8月1日から、特養およびショートステイの利用料が大幅に値上げされました。これは、「補足給付」の改悪によるものです。補足給付とは、施設入居者の食費・居住費に関する負担軽減制度です。
施設入居者の食費・居住費は、もともと介護保険の給付に含まれていました。しかし国は2005年、「ホテル宿泊時と同様に払うべき」と改悪を実施し、全額自己負担としました。このときに負担があまりに大きいことから、低所得者である住民税非課税世帯の負担軽減策として導入されました。
ところが、この低所得者対策を縮小するというのが、今回の見直しであり、コロナ禍で苦しむ低所得の高齢者に冷水を浴びせるものです。
補足給付の改悪の中身は食費負担増と、資産要件の見直し

第1に、食費の負担増です。
介護保険加入者の収入は8段階に区分されています。第1~3段階までが補足給付の対象で、本人・家族全員が住民税非課税の世帯です。今回の改悪では第3段階をわざわざ2つに分け、第3段階②(本人の年金収入120万円超)の食費負担を大幅に増やします。

第2に、資産要件です。
これまで預貯金などの残高が「本人1000万円以下」(夫婦で2000万円以下)という基準でしたが、8月から本人の要件を厳しくして、対象を狭め給付からはずすというものです。第2段階で650万円以下、第3段階①で550万円以下、第3段階②)で500万円以下に引き下げられます。
銀行の預貯金はもちろん「タンス預金」まで申告が必要です。通帳のコピー提出まで求められ、ケアマネジャーなど介護事業所の職員がコピーをとらなければならないことになっています。
年収120万円以上、預金500万円以下で、食費が年26万円負担増!
第3段階②に該当する方の場合、食費負担が月額5万9000円から8万2000円へと、実に2万2000円も跳ね上がります。年間に換算すれば、26万4000円の負担増。こんなに増えたら、入居の申し込みをあきらめる要介護者が続出する危険すらあります。
広域連合の試算では最高で年間55万円の負担増となる人も
東三河の利用者への影響を質問したところ、資産要件の見直しにより、補足給付の対象外となる人の中には、最高で年55万円の負担増になる人もいるとの答弁がありました。また、今回新たに軽減対象外となる方が(主に第3段階②と思われる)180人ほど増えるということでした。
8月利用分の請求が9月に届き、驚愕した利用者さんや家族からの問い合わせが殺到する事態が予測されます。
自己責任ではなく、国の責任で持続可能な介護制度を求める
自己責任・自助の名のもとに介護サービスの負担増や、弱者の切り捨てを進めていくことは、まさに「保険あって介護なし」という状況を加速させるものです。利用者に負担を押し付けて、持続化を図るやり方ではなく、国の責任でしっかりと介護を支え、持続させるよう保険者として、国へ働きかけをすべきと広域連合に対して求めました。