1か月にわたって開かれていた3月議会が3月29日に閉会しました。3月議会は2022年度の予算を審査する予算議会。
日本共産党豊橋市議団は一般会計、国民健康保険と後期高齢者医療特別会計、市職員の期末手当の改正に関する条例案に反対しました。
2022年度予算
2022年度予算の特徴は、子育て予算に手厚く、高齢者予算は切り捨てのバランスを欠いた予算と言わざるを得ません。以下、何点か紹介したいと思います。
◆ 東日本・中日本の政令指定都市・中核市初!
保育料の無償化&副食費補助
1億4,784万円
- 0~2歳児の第2子の保育料無償に(第3子以降はすでに無償)(2022年9月から実施)
- 3~5歳児の第2子以降の副食費を4,500円まで助成、第3子以降は無償(3歳以上保育料はすでに無償)
これにより、所得に関係なく、3歳以上の第1子の副食費以外の負担はなくなります。豊橋の独自の予算も活用しており、子育て家庭への大きな支援になります。
◆「のびるんdeスクール」を全小学校に拡大
2億1,221万円
実施校を2022年9月から12校から52校に拡大し、週2~3日開催し、開催日には全学年を対象にスポーツ、アカデミー、カルチャーの3部門を中心にした特別教室を行ないます。ICTと融合した英語のみのプログラムや、キッズミュージック、アート教室など、小学生版カルチャースクールのような内容もあります。
外部講師の選定方法も明瞭でないことから、少なくとも公募制にして、講師一覧や教室の内容のHPでの公開を求めました。市が主催して行なうべきものなのか、本当に9月からの全校実施で大丈夫なのか、子どもの放課後の過ごし方としてふさわしいものなのか、引き続き児童クラブなど子供に携わる人たちや、広範な市民の意見を聞くことが必要です。
◆ 設楽ダム関連予算
4,024万円
水特法に基づく水源地域整備事業と、水源基金による水源地域対策事業について、毎年負担金を支出し続けています。
設楽ダム建設事業は、地盤強化のための工法の変更や、事業期間の延伸などにより、当初の予定よりも費用が増大してきています。
しかし、近年豪雨災害が頻発する下で、ダムや堤防の整備を進めても豪雨による浸水被害を防ぐことができずに、国や流域自治体が協力して流域治水にかじを切るという方向になってきています。
利水についても豊川総合用水の完成などにより、ダムの必要性がなくなっています。あらためてダムの必要性など現地での検証を求めました。
◆ 高すぎる国民健康保険税繰越金と基金の活用で1世帯2万円の引き下げを!
令和4年度の国民健康保険税調定額(一人当たりの平均額)は、実質プラス1.2%の引き上げとなります。
豊橋市には21億円の繰越金と、財政調整基金5億円があり、これを活用すれば、1世帯当たり2万円を引き下げても、まだ14億円が残ることになります。思い切った繰越金や基金の活用を求めました。
◆ 国保の子どもの均等割り半額軽減が実現!(未就学児に限定)
日本共産党が長年求めてきたもので一歩前進です。しかし、県内では一宮市、設楽町で、18歳までを対象年齢にした減免制度をすでに実施しており、豊橋市としても独自の減免制度を設け、対象年齢の拡大をすることで子育て支援にもつながります。
◆ 後期高齢者医療費70%の方が値上げ
後期高齢者医療保険料が1人当たりではこれまでより1075円下がりますが、均等割の引き上げにより、70%という多くの方が負担増になり、賦課限度額の引き上げにより、最大で2万円の増加となる方が2%いるということです。
また、10月から単身で200万円以上、複数世帯で320万円以上の年収の方について、病院の窓口負担2割の導入が予定されています。このことによって、軽減される現役世代の負担軽減効果は、一人当たり年間700円に過ぎないにもかかわらず、豊橋市では1万人の高齢者の窓口負担が2倍になり、受診控えの心配も生じています。
年を取れば病院にかかることが増えるのは必然で、だれでも安心して病院にかかることができるようにするこそ、国や自治体の役割ではないでしょうか。
窓口負担が2割に引き上げられることを前提とすることからも予算案には反対しました。
◆ 市職員の期末手当の引き下げに反対
人事院勧告を踏まえ、市職員の期末手当の支給率を6月期と12月期の2回に分けて、合計0.15ヵ月引き下げられます。1人当たりの年間平均影響額は、一般職で最高12万2000円、再任用で最高約2万9000円、会計年度任用職員は約2万6000円ということです。市職員の皆さんは、特にコロナ禍において、医療、保健、保育、介護などケア労働に携わる方は感染リスクの不安を抱えながら市民のいのちや健康を守るために頑張っておられます。市職員の安定的な確保のためにも期末手当を減らすことは認められません。とりわけ会計年度任用職員の一時金は、令和2年度より月給を削って支給することに変更されており、不利益を被むる引き下げに反対しました。
◆ 公立園の正規保育士は賃金改善されず
会計年度任用職員である保育士、児童クラブ支援員及び養護員の報酬を3%程度引き上げられますが、正規職員は対象ではありません。民間で働く保育士は国の3%の補助に加え、豊橋市独自に1%上乗せして賃金改善されることを考えますと、公立園のすべての保育士の処遇を引き上げ、安定的な保育士確保につなげていく必要があったと考えます。
◆ イマージョン教育推進費
八町小学校で実施されている、国語と道徳以外の科目を、英語で修得させる「イマージョン教育」は3年目を迎えます。新年度においても、各学年定員25名のクラスに、担任のほか、外国人英語指導員と、教材のための翻訳業務を担当する職員二名、イマージョン学級コーディネーターが一名、市費で配置をされています。
新年度の一年生の募集には、募集人員の2.2倍の応募があり、希望した児童の二人にひとりも入れません。兄弟で希望しても抽選で漏れれば、別々の小学校に通うこととなります。公教育において、一部の児童に手厚い教職員の配置を行い、抽選でその教育が受けられるという状況が、認められるものでしょうか?
豊橋市の公立小学校におけるイマージョン教育コースについては、新規の募集をやめ、制度の解消をはかるべきです。
◆ 放課後児童クラブ運営事業費
子どもたちの生活の場として、なくてはならない放課後児童クラブ/学童保育では、多くの子どもたちが、コロナによる感染を避けながら、ともに過ごすために、支援員/指導員にも、運営する人たちにも、たいへんな負荷がかかっています。
新年度予算では、感染防止のための補助が、継続して盛り込まれていますが、学童クラブの指導員の処遇は、国の処遇改善臨時特例事業によって、9000円程度の処遇改善分の補助の上乗せがあったものの、まだまだ、安定的に働き続けることができる処遇の改善には、ケタが一つ違います。
また、国は、家賃地代の補助、周辺業務を行う職員配置費用の補助などのメニューも提示しておりますが、豊橋市は、家賃地代は設立初年度にのみの支給とし、コロナ対応で増える事務仕事などの負担が増えるなかで職員配置費用補助は事業化しませんでした。市内で二年続けて、父母会が運営する学童保育が事業撤退をし、公設のクラブが設立されています。
行き場のない子どもがないような迅速な対応は評価いたしますが、民設民営の学童保育が、運営できなくなってしまう事態は、避けていく必要があります。コロナ対応や指導員確保などの、運営にかかわる業務の負荷を軽減していくためにも、指導員の処遇の改善による安定的な確保、事務負担の軽減につながる運営費の補助拡充が必要です。