加齢とともに言葉の聞き取りに支障が出るのは60代~70代で、徐々に進行するために本人が気づきにくく難聴を放置すると日常生活で不便を感じることになります。外出先で危険な目にあったり、人との会話も消極的になってしまうことにより、社会参加を困難にし生活の質の低下を招いてしまいます。加齢性難聴の原因は動脈硬化であり、難聴が進むと認知症の発症リスクが高くなります。適切な時期に補聴器を使用することで、認知症の予防効果もあるとも言われています。
厚生労働省は2021年、自治体の補聴器購入費助成の状況などを調査した「難聴高齢者の社会参加等に向けた適切な補聴器利用とその効果に関する研究」を公表し、「取り組み強化の検討が求められる」と提言しました。現在加齢性難聴者への補聴器購入費助成を行う自治体が、3年前36自治体であったのが今年の1月4日時点で239自治体になりました。これまでも高齢者の生活と健康にとって聞こえの支援は重要と考え補聴器購入費助成を求めてきましたが、愛知県内でも取り組みが広がっている状況を踏まえ、今回再度一般質問に取り上げました。
加齢性難聴と認知症の関係について聞いたところ、「加齢性難聴は認知症機能の低下の危険因子の一つであると考えている。」加齢性難聴を早期に発見し、早期の補聴器使用を促していくことへの考えについては、「生活の質を維持する上で難聴を早期に発見し適切に対応することは重要である。介護認定調査時などに聞こえのチェックを実施し、早期発見、早期治療などの支援を行っていく。」補聴器使用を促していくために購入費用の助成を検討していく考えについては、「現在、補聴器購入費用の助成を行う予定はない。」との残念な答弁でした。
65歳以上の特定健診の項目に聴力検査に加えて加齢性難聴を早期発見し、適切な時期に補聴器使用につなげていくために、これからも購入費助成を求めていきます。
(中西みつえ)