2024年12月3日
豊橋市の新アリーナ契約解除の業者への申し入れにあたって
日本共産党愛知県議団
日本共産党豊橋市議団
11月21日、豊橋市は多目的屋内施設(新アリーナ)計画の整備運営事業契約を相手の「豊橋ネクストパーク」に対し、事業契約の解除に向けた申し入れを行い、22日に記者発表を行いました。日本共産党豊橋市議団として、豊橋公園における新アリーナ計画に反対してきたことから、市長選挙の結果を受けたこの申し入れを歓迎します。
■浅井前市長の公約違反とアリーナ立地をめぐる迷走
そもそも、この新アリーナ計画は、浅井前市長の4年前の選挙公約の「豊橋公園は使わない」「市民の意見を聴いてゼロベースで検討」という公約に反してすすめられてきました。豊橋公園の豊かな緑や、市民の憩いの場を脅かすこと、アクセスの課題などによる住環境への影響が指摘されてきました。当初の建設場所が、河岸浸食のリスクがあるところだという情報が市役所内で共有されず、ドタバタの挙句に野球場の移転によって建設をするという事態になりました。さらに野球場の移転先が津波によって避難が困難な地域にあたるということもあとから市民に指摘をされて問題になりました。
■PFI事業で儲け優先の事業に変質
PFIのBTコンセッション方式を採用することで、「民間企業が儲けを上げるための箱物」という性格が強まり、30年で建設運営あわせて230億という当初の予算規模を大きく上回る事業となりました。運営企業が利益を上げるためには、市民のスポーツをするための施設ではなく、イベントを開催して人を呼び込むことを目的とした施設の性格が強まることにもなります。
■市民の声を聞かずに強行
また、新アリーナは、事業計画に懸念や反対の声を上げる市民を、無視する形ですすめられてきました。決まったことを広報などで知らせるばかりで、直接市民に対する説明し市民の意見を聴く場も設定されてきませんでした。二度にわたる、事業の可否を問う住民投票の実施を求める直接請求に対しても、浅井前市長は「意義は見出しがたい」と意見をつけて、議会も否決をしました。
■手続きにも数々の不備
さらには市が、事業を進める過程で、契約とは違う事務手続きを行い、それを議会に対してはきちんとおこなっているかのような虚偽の答弁を行いました。また、情報公開で出してきた文書が、市民が起こした裁判の過程で、業者が出してきた文書と異なっており、市の情報公開に対する疑問も指摘をされているなど、豊橋市の業務遂行の在り方そのものへの不信も広がっています。
■市長選と契約をめぐって
こうした事態を踏まえ、先の九月議会では、「市長選後の契約」を求める市民の請願が出されましたが、議会のアリーナ推進派によって、不採択となっています。
これらの一連の経過を踏まえると、市長の「契約解除」の判断は、市長選挙で示された市民の意思に応えるものであり、契約直後の解除となり、事業者への補償金等の支払が生じているのは、市民の声を無視して推進を図ったことから起こっていることを率直に指摘しなければなりません。
■豊橋市民への選択への干渉は許さない
市長の記者会見後、東三河の近隣自治体の首長や、愛知県知事が、様々な発言をおこなっています。大村愛知県知事は、記者会見で「違約金が発生する」「プロスポーツチームを無しにしてしまうことをよしとするのか」「今年度の県の補助金はお返しいただく」など発言をしておりますが、こうした言動は、豊橋市長選挙で示された市民の意思に対する、知事の不当な干渉、介入であり、厳しく抗議をします。党県議団として、知事による干渉・介入をやめ、豊橋市民の選択を尊重することを求めていきます。
■市民とともに問題解決に尽力します
党市議団は、今後豊橋市へ、豊橋のスポーツ施設の整備計画と、箱物に頼らない地域経済の振興を早急に検討し、総合体育館の老朽化過密化に対応する市民のスポーツの場の整備を進めることをもとめ、議会内外で奮闘する決意です。
以上