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家庭教育支援条例(案)への反対討論

カテゴリー: 政策関連, 活動報告

 三月定例会で、自民党豊橋市議団の中から提案された「豊橋市家庭教育支援条例」(案)が、豊橋市議会で賛成多数により可決されました。
 反対をしたのは、日本共産党豊橋市議団の斎藤ひろむ、鈴木みさ子、中西みつえの三名と、紘基会の寺本市議でした。

 以下は、日本共産党豊橋市議団を代表して、斎藤ひろむがおこなった反対討論(要旨)です。

 
 議案会第一号「豊橋市家庭教育支援条例」案について、日本共産党を代表し、反対の立場から討論を行います。
 本条例案については、私ども日本共産党は、三つの点から懸念を持っています。
 一つ目は、「子どもたちの抱える課題の解決が、家庭教育とその支援で解決に本当に向かうのか。むしろ問題の原因を家庭だけに押しつけ、行政はその支援をするという役割にすることで、行政の責任を曖昧にしてしまうことになるのではないか」という点です。
 二つ目は、「家庭の教育に、特定の思想に基づくものを押しつけるようなことにはならないか」という点です。
 三つ目は、「全ての市民にかかわる重大な条例を、十分な議論もなく拙速に決めてしまうことにはならないか」という点です。
 委員会での提案者のへの質疑を踏まえても、これら三つの疑念は払拭されるというようにはなりませんでした。

 条例案では「家庭」を「全ての教育の原点」と位置づけ、子どもの「知徳体の調和の取れた人間育成の中心に家庭教育を据え」ています。しかし本来、子どもの発達と成長は、社会全体が責任を負うべきものであり、家庭教育という名で親と保護者、家族に責任の主体があって、学校や地域や事業者あるいは行政当局がそれを支援すると位置づけられるものではないはずです。
 家庭とその子どもが、豊かに成長するということへの困難をもたらしている、本質な原因は何でしょうか。それは、親においては長時間過密な労働実態であったり、非正規が半数を超えるという状況での経済的な困難であり、子どもにおいては、国連から2度にもわたって「過度な競争的な教育になっている」と指摘されるような学歴社会であったり、自己肯定感のつくりにくい社会環境であったりするのではないでしょうか。
 そうしたことを解決するための施策を強化するということこそが、豊橋が重視をして取り組むべき課題だ考えます。

 また、質疑の中では、特定の家庭教育についての「押しつけはしない」という答弁がある一方で、条例には「親としての学びを支援する学習の方法の導入を進める」とあり、何らかの学習の方法を市が取り組むということになっていく中身になっています。
 家庭教育と言いますが、それは子育てと密着をしており、家庭教育や子育てに「こうあらねばならない」というような形で、公権力が入り込むことは決してあってはなりません。

 もとより私たちは、子どもの成長における家庭の役割、家庭教育というものの重要性を否定するものではありません。しかし、子どもたちの人格形成に必要なものは、狭く家庭での教育の中に押し込められるようなものはなく、「子どもの権利条約」に規定されているように、全ての子どもが学び、健やかに成長できるような社会環境を整えていくこと、そして、教育環境においては、学校教育に加え、子どもからお年寄りまで「人々が生涯のいつでも自由に学習機会を選択して学ぶことができ、その成果が適切に評価される」社会教育としての「生涯学習」が大事であると考えるものであります。
 市民、とりわけ子育てに悩む親御さんたちに、子どもの成長に「責任を負え」と努力を強いることになりかねないような条例の制定には反対です。

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