9月30日に9月定例会が終了しました。9月議会では、一般質問と、37件の議案、5件の意見書、1件の請願などの審査が行われ、日本共産党豊橋市議団は、一般会計歳入歳出決算、国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算、後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算、動植物公園事業特別会計歳入歳出決算について不認定、「燃料、飼料穀物、肥料、資材高騰から農業経営を守る緊急支援を求める請願」について、採択すべきとしました。
2021年度決算及び請願について討論した内容について報告します。
◆ 設楽ダム関連事業費
令和2年度で終了するはずだった設楽ダム水源地域整備事業が令和8年度まで延伸しました。すでに完了している事業もありますが、豊橋市では負担金の支出が続いています。ダム事業そのものが、治水面でも、利水の面でも、またダムサイトの安全性でも疑問が生じるなかで、負担を続ける昨年度の、こうした事業の執行について認定できません。
設楽ダムについては、今年の5月、国はダムサイト直上流左岸の地盤に問題があることを認め、計画を8年延期し、建設費用も追加で800憶円(当初に比べ1130億円)の増額と発表しました。こうした事態の中で、ダム事業を遂行することに改めて反対を表明しました。
◆ スポーツ施設管理運営事業費
令和3年6月議会で市民プールの廃止が決まりました。廃止決定後、9月、12月、3月の議会に市民の皆さんから市民プールの存続を求め繰り返し陳情書が提出されました。「子どもたちにとって夏の大切なプールをなくさないで」と多数の市民の声が寄せられたことの重みを実感しました。また、「知らないうちに廃止が決まっていた」という市民の声を踏まえ、市が市民プールの廃止にあたり、市民の皆さんに廃止の計画を事前に知らせ、意見を聞いていく必要がありました。
◆ 子ども医療費助成事業費
中学生の子ども医療費の助成は通院・入院費とも現物支給であり窓口負担はありません。しかし高校生は入院費のみの助成であり、一旦窓口で医療費を支払う必要や、償還払いのために手続きをする必要があります。入院費の支払いが高額になることもあり、負担軽減のためシステム改修や受給者証の配布など必要な手立てをとっていくべきです。
◆ 小学校・中学校就学援助費
コロナ禍でさらに子どもの貧困が進んでいます。令和3年度は、就学援助制度の利用が、年度途中に370件あり、小中学校合わせて4574人、全児童生徒数に対して14.8%でした。就学援助制度の申請受付は、豊橋市は学校教育課のみですが、愛知県の35自治体では(65%)学校でも受付を行い、それぞれの家庭の状況に応じて対応しています。制度の対象になる家庭がもれなく利用できるよう、利用しやすい環境整備が必要です。
◆ 教育環境費
八町小学校で行われている、イマージョン教育、小学校過程の学習指導要領に基づく授業について、国語と道徳を除くすべての科目を、英語で行うという、英語に「漬かる」教育の仕組みですが、こうした教育を、公教育の場で行うことの公平性の担保として、市内どこからでも応募ができ、抽選で選ばれること、そこでの教育の実践による成果を、他の学校にも還元していくとのことでしたが、令和3年度においては、次年度の入学の募集において、1年生で定数の2.2倍の応募があったとのことです。希望した2人に1人強が受けられなかったということです。この仕組みは、兄弟が別々の学校に通っているというご家庭も生まれます。
令和3年度においては、コロナによって、他の学校の教員向けの研修や、児童の体験などの企画もできなかったということでした。イマージョン教育は、他の学校に比べて、25人定員の少人数学級が基本とされ、NETという専門のスタッフも、1クラスにひとり、市費で配置をされています。そのような、1部の児童にだけ手厚い仕組みを、公教育の場において実施し続けることは、教育の公平性からも認めるわけにはいきません。
◆ 図書館費
令和3年11月のまちなか図書館の新規オープンに伴い、令和3年8月から向山図書館及び大清水図書館の開館時間の短縮となりました。
利用者アンケートやメールなどにより、利用者からは「元の開館時間に戻してほしい」との意見があったということでした。開館時間の短縮は、利便性の面でサービス低下になりました。利用者の声を踏まえ、開館時間を元に戻すことも視野に入れて、図書館事業の充実及び市民サービスの向上に努めることを求めました。
◆ のびるんdeスクール運営事業費
のびるんdeスクールは、放課後の新たな学びの場、全国初の取り組みとして、開始され、令和2年度の2校から、令和3年度は12校の開設へと拡大がされました。参加状況は低いところでは14%、高いところでは32%、平均すると24%ということ、そのうちで、児童クラブの在籍児童は約半数でした。
また、令和3年度には課題などを検証し、開設校や開設日の見直しを行ない、児童クラブとの共存などを図っていくとして令和4年度からの方針を決めています。
国がすすめる放課後事業の一体化の流れがある中で、豊橋市では、のびるんdeと児童クラブとの役割や機能が違うということを明確にし、それぞれの特徴を生かして、どちらも充実を図っていくとしたが、多くの課題があると考えます。
スタッフの専門性や資格、活動内容についての規定もなく、子どもの発達段階や、成長を踏まえた対応がどこまでできるのか、あくまでも児童クラブとは目的も役割も違う中で、すみわけを図りながら、のびるんdeスクールのあり方を考えていくべきです。
◆ 納税費
滞納整理事務費において、市税、国保税の滞納者への差押え件数が毎年増え続けています。その内訳も給与・年金など生活に欠かせない収入源や、病気・怪我などいざという時に備えて加入している保険の差押えにシフトしてきています。
すぐに換金できるこれらの債権の差押えの強化は、現年完結型の滞納整理に効果的であるとしているが、滞納者の生活や健康に直結する給与や年金、保険や売掛金などの差押えは極力避けるべきであると考えます。
◆ 国民健康保険事業特別会計
あまりにも高い、国民健康保険税の負担が、市民生活を圧迫しています。令和3年度は、決算剰余金を活用して保険税額を据え置きましたが、決算結果は、被保険者の所得が高く、調定額も増え収入率が安定したことで、決算剰余金が増額となったということです。国保税の軽減に努めるべきであったと考えます。
県の国保運営方針は国保税の引き下げに、一般会計からの繰り入れを行わないという方針ですが、豊橋においては、現在の国保会計のなかで、基金と決算剰余金の活用でも十分国保税の引き下げが可能です。高すぎる国保税の負担軽減に取り組むことを求めました。
◆ 後期高齢者医療特別会計
75歳以上の高齢者のみを、別枠の医療保険制度であつかうという後期高齢者医療保険制度は、医療費が他の年代よりもかさみ、保険料負担が増えるという構造的な問題が抜けきれません。
令和3年度、短期保険証が86枚発行されているとのことでしたが、短期保険証によって受診控えが生じるということもあり、通常の保険証の発行が求められます。
◆ 動植物公園事業特別会計
令和3年度は、突然のマイソール動物園からのゾウの寄贈が発表され、輸送費用、返礼の動物の購入、飼育員の増員などが補正予算で組まれ、執行されました。
相手方動物園との情報に関しての契約の関係があったため、突然の発表となったと説明もされましたが、税金の使い方としては、情報の公開、市民への説明に不十分なところがあったと考えています。