5月19日に「アジアゾウ3頭をあらたにむかえることになった」「すでに中部国際空港に到着しており、20日の早朝から豊橋の動物園に移動する」という発表がありました。
到着後の発表となったのは、寄贈相手のインドのマイソール動物園との間で、ソウが到着するまで公表しないという寄贈条件があったため、一部の職員にしか知らせない「トップシークレット」であったということでした。
豊橋の動物園で「ゾウの群れ飼育」の計画が持ち上がったのは2012年のことですが、これまで、ゾウの入手の見通しが示されず、市民への説明もされてこなかったので、今回の「ゾウの到着」はまさに、「寝耳に水」でした。
これまでに、メスゾウのアーシャが2回の出産をしたものの、2頭の子ゾウはいずれも亡くなってしまうという残念な出来事もありました。現在は3頭のゾウを飼育しており、5900平方メートルという国内最大の広さの屋外運動場が昨年度完成しているものの、あらたに6頭ものゾウが住むことのできる「ゾウ舎」の建設は、未着手のままです。
メスゾウを中心とした群れで子育てしながら、長い距離を移動して過ごすというゾウの生態は、今ではよく知られています。計画が持ち上がってから9年の間に、国内の動物園でのゾウの飼育の在り方も「群れ飼育」を指向するものに変わってきており、公立では札幌、京都、上野などの例があります。
しかし、豊橋で「群れ飼育」を行なう目的、意義、費用も含めた具体像を示し、市民の意見を聞くということを飛び越して、既成事実からの出発であり、他会派からも異論が出されました。
ゾウの導入にかかる新規費用は、1.5億円
ゾウの輸送費用が5700万円(当初予算で対応)、 インドの動物園へ寄贈する(売買でなく、動物の交換という形)ジャガー、オラウータンなど7種、23頭の動物の購入費用7500万円、餌代、2名の飼育員の増員などで1900万円(計9,400万円の補正予算)がかかっています。この補正予算には、「ゾウの群れ飼育」に対する市民的合意のないまま、一連の計画が進められたことから、日本共産党市議団は、今後の情報の公開、十分な説明を求めつつ反対をしました。
(鈴木みさ子)