11月の市長選で、「多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業」(以下「新アリーナ関連事業」)の中止を公約に掲げた長坂市長が誕生し、アリーナと豊橋公園整備の事業は中断され、事業者と契約解除に向けた交渉が続いています。
新アリーナ関連事業の「継続」の立場に立つ議員は、12月議会では自ら提案した住民投票条例案を撤回し住民の声をきく機会を否定したうえで、議会権限を越えている疑いのある、「契約解除について議会の議決を必要とする」条例を可決し、市長の選挙時の法定ビラの記述について緊急質問の実施はじめ市長への突き上げなど、事業の継続になりふり構わぬ態度にでています。
一方、市民の間では、事業への賛否双方から様々な声が上がり、事業をやめた場合の影響などにも関心が集まっています。
私の3月議会の一般質問では、そうした市民の疑問に応えるための質問をしました。
Q1 なぜ新アリーナ関連事業の中止をすることにしたのか?
A1 建設候補地が「家屋倒壊等氾濫想定区域」であったことが認識されてなかったため急遽野球場の再編まで影響が及んだこと、市民や地域住民に対する説明が非常に少なかったことなど、市民の総意を得るプロセスが不十分でした。それら含め、市民の意見や意思が、市長選の市民の選択として示されたことから中止することとしました。
解説1
長坂市長がなぜ計画中止を公約にしたか…なかなか見えてなかったところを、答えていただきました。日本共産党豊橋市議団としては、このほか、「PFIのBTコンセッション方式」により民間企業の儲けの場としてのハコモノであることや、渋滞や騒音など近隣の皆さんの不安解消が解決していないことなども、中止すべき理由として考えています。
Q2 総合体育館の老朽化・過密化対策は?
A2 老朽化対策は、アジア競技大会に向けて必要な機能や、劣化が進む箇所の改修をすすめています。過密化対策は、休日に過密で一般の大会や試合、プロスポーツや実業団の試合が年間通じて開催されています。今後、三遠ネオフェニックスがホームアリーナとして継続するかどうかに左右されるので、状況に応じて対応を整理したい。
解説2
そもそもの事業の発端である総合体育館の老朽化・過密化については、佐原前々市長が、総合体育館を突然三遠ネオフェニックスのホームアリーナに使うことを決めてきたことがあります。このことは市民の間での議論がもっと必要だと考えています。
Q3 三遠ネオフェニックスがBプレミアへ加入するための条件にあたる施設整備を、市が行う必要性は?
A3 株式会社フェニックスが総合体育館をホームアリーナとして長く継続利用する意向があれば、総合体育館の改修でプレミアの要件を満たせるかどうか可能性を探る余地はあると考えています。
解説3
三遠ネオフェニックスが豊橋市をホームタウンとして活動する中で、施設整備にどこまで市民の税金を使うのか。これも市民の間での議論が必要なことですね。
Q4まちなかの活性化について?
A4アリーナを豊橋公園に整備することで来場者による経済効果の享受や交流人口が増えまちなかの賑わい創出に寄与することが期待されていました。まちなか活性化のためには、市内外から人を呼び込み長時間滞在してもらうことが必要と考えています。これまでココニコ、PLAT、まちなか図書館といった公共施設を中心に、再開発促進や歩道空間整備などを進めてきました。こうした取り組みに加え、多様な店舗の出店促進やイベント開催を通じ、回遊性を高め、活気にあふれたまちづくりを進めます。
解説4
「あったら有効」という側面の一つですね。そして「ないとダメ」というわけでもありません。経済効果を発揮する施設については、費用と目的など考慮していく必要がある。バランスが必要です。
Q5事業中止をした時の「補償金」の対応について
A5現在契約解除に向けた協議の手続きを進めています。「損失補償」などが確定した際には、市民や市議会に対して説明し、ご理解いただけるよう適切に対応してまいります。
解説5
いわゆる「補償金」は、契約の解除の協議の中で相手方から示されてくるものです。契約の解除までに実際にかかった実費や、想定されてた利益の一部(この事業の場合30年分を年平均した「何年」分)などが請求される可能性があります。それらの妥当性に市側も精査し、協議していくことになります。
Q6現在豊橋公園にある武道館やテニスコート、豊橋球場などのスポーツ施設の整備について?
A6新アリーナ関連事業とともに予定されていましたが、いずれも一時中止しています。事業の契約解除後に、再整備を含めた豊橋公園のあり方の具体的な検討を行っていくと考えています
Q7新アリーナの目的の一つであった「防災活動拠点」について?
A7広域防災活動拠点にある総合体育館が被災したときのバックアップとしての利用や、地域防災活動拠点にあたる豊橋公園内で、大規模な屋内施設ができることで、受援の際の活動環境のプラス面を期待していました。
解説7
防災活動拠点とは、大規模な災害が豊橋で起こった時に、受援…他の地域からの支援を受ける際に使う場所のことです。新アリーナがなくとも現行の防災計画で不備があるわけではないということは私が12月議会で確認しています。しかし屋内が使えることの利便は期待していたということですね。
Q8事業の中止に伴って国県の補助金に影響があるのか?
A8中止を表明して以降R6年度の国の補正予算に伴う国庫補助についておおむね要求額通りの内示があるなどR6予算において具体的な影響はありません。今後影響があるかどうかはわかりませんが、事業推進に不可欠な補助金の獲得に向けて国県には積極的に働きかけます。
Q9ほかに新アリーナ関連事業中止に伴う課題は?
A9野球場の再編についても対応が必要だと考えています。
質問全体通じて…
私は質問の前提として、市長選を踏まえて12月議会からその後の議会の議論をみても、新アリーナ関連事業については、長坂市長が進める「事業の中止」に向けた手続きを粛々と進めていただくしかない、と考えていました。
そして市民の皆さんが気にしている、様々な問題を質問で掘り下げてみて改めて感じたのは、事業中止の影響は決して深刻な事態を招くものではないこと、そして、スポーツ施設や公園の整備など、とにかく次に進むためにも、一刻も早く「事業中止」の決着をつけ、あらためて市民の皆さんと豊橋のこの先について議論をしていく状況を作ることが、待たれている、ということです。日本共産党豊橋市議団として、市民の皆さんの声をしっかりとつかみながら住みよいまちづくりに向けて今後も奮闘する決意です。